米国のジョン・ルイス下院議員の訃報に接し、悲しみに堪えません。彼は、アメリカの公民権運動の指導者であっただけではありません。非暴力と正義を信念とするその献身は、世界全体を勇気付ける倫理の光でした。
世界の何百万人もの人々と同じように、私もマーティン・ルーサー・キング牧師の賛同者ですから、非暴力についてお話をするときにはいつも、マハトマ・ガンジー、ネルソン・マンデラ、マーティン・ルーサー・キング牧師のことを例として挙げています。ルイス下院議員は、キング牧師の知人であっただけでなく、キング牧師にとってかけがえのない支援者でした。私はキング牧師にお目にかかったことはありませんが、ルイス下院議員にお会いしたことで、キング牧師と直接やりとりをしたように感じています。
ルイス下院議員は、自由・平等・正義という根本的な民主主義の価値を信念として貫かれていたことから、政治的見解が異なる人々の間でも称賛を受けておられました。長年にわたる公務を通して、ルイス議員は、正義と平和という大義に非暴力で取り組む勇気を多くのアメリカ人に与えられたのです。お会いすることはもうできませんが、手本とすべきお人柄は、米国ならびにこの広い世界がすべての人にとってより良い場所となるよう取り組む勇気を人々に与え続けることでしょう。
祈りを込めて
ダライ・ラマ
2020年7月19日