インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ
ダライ・ラマ法王は、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相に書簡を送り、15日にクライストチャーチの2カ所のモスク(イスラム教の礼拝所)で発生した銃乱射事件の犠牲者と負傷者に対する深い哀悼の意を表明された。法王は、犠牲者に追悼の祈りを捧げられるとともに、犠牲者の遺族、友人、ニュージーランドの人々に向けてお悔やみの言葉を綴られた。
書簡の中で、法王はアーダーン首相に次のように述べられた。
「事件の後、貴方は『暴力の犠牲者は移民や難民も含めてニュージーランド国民という家族の一員であるが、このような暴力を振るう加害者たちにはここに住む場所はない』と宣言されました。私は、貴方が示してくださった勇気、智慧、リーダーシップを心から称えています。私たちはみな他者に依存して生きているのですから、他者のことも含めて考えなければなりません。私は世界のどこへ行っても、自身のことを、この地球に生きている70億の人間のひとりに過ぎないと考えています。近年私たちが目にしているように、宗教の名の下で、あるいは他の宗教に対する敵意によって人々が殺し合うというようなことは、あってはならないことなのです。人間として私たちは精神的にも、身体的にも、情緒的にも同じであるという事実から、私が、人類はひとつの人間家族であることに気づいてもらおうとしている理由もそこにあります」
「貴方とニュージーランドの人々が貴国のイスラム社会に思いやりの手を差し伸べ、支援するに至ったことに、私は拍手を送りたいと思います。クライストチャーチで銃乱射事件が起きた後、世界中のあらゆる宗教を信心する人々がモスクを訪れ、イスラム教徒との団結を示したことにも大変勇気づけられました」
法王は最後に、次のように述べられた。
「銃規制の強化に向けたニュージーランド政府の取り組みは、平和と安全に寄与するでしょう。しかし同じように大切なことは、貴方が示してくださったように、あたたかな心を培うことによって恐れや憎しみを乗り越えることなのです」