インド、ビハール州、ブッダガヤ
今朝、晴天のもと、ダライ・ラマ法王はガンデン・ペルゲ・リン(ナムギャル僧院)からカーラチャクラ・グラウンドまで徒歩で移動された。その間、法王はいつものように群衆に手を振られ、仏塔や仏像などに敬意を表されたり、法座の周囲に集まった高僧方と挨拶を交わされたりした後、着座された。
まずラオスの僧侶たちがパーリ語で『吉祥経(マンガラスートラ)』を唱えたのち、マイトレーヤ・スクールの学生がサンスクリット語で『般若心経』を唱え、甲高い中国語の『般若心経』の読経が続いた。法王はパンチェン・ラマ10世没後30年を祈念するため、法王が本日最初の灌頂に先立って準備の儀式(前行修法)をされる間、聴衆に『普賢行願讃』を唱えるよう指示された。
法王は本日の教えについて、次のように説明された。
「本日授与する文殊を巡る一連の法は、ラマ・ウマパ(パオ・ドルジェ)の法脈に連なります。ラマ・ウマパは羊を放牧していた少年時代から文殊菩薩のヴィジョンを特徴的に黒い体色として見ており、その後は毎日文殊菩薩のヴィジョンを見るようになりました。この文殊を巡る一連の法の教えはゲルク派でのみ修習されており、グルヨーガ、文殊独尊の成就法、加持などを含みます。この教えはラマ・ウマパからツォンカパ大師に伝えられ、そこからジャンペル・ギャツォ、ケドゥプ・ゲレク・ペルサン、バソ・チューキ・ギャルツェン、チューキ・ドルジェ、ロブサン・ドンドゥップ、ケドゥプ・サンゲー・イェシェ、ロブサン・チューキ・ギャルツェン、コンチョク・ギャルツェン、パンチェン・ロブサン・イェシェ、ロブサン・ゾパ、ロブサン・パルデン・イェシェ、ロブサン・ジャムぺル等に伝承されました」
「私は子供のころ、タクダ・リンポチェからこの教えを授かりました。このような一連の教えを授与する準備にはいくつかの方法があります。すべての灌頂の準備の儀式をまとめて一度に行い、その後、次々に灌頂と許可灌頂を与えていくやり方と、灌頂の準備の儀式を一つずつ行い、そのつど灌頂や許可灌頂を与えるやり方です。私は後者の方法に従い、チャド・リンポチェの助けを得ながら進めていきます。というのも、儀軌次第のテキストは瞑想の順番通りに書かれていないので、リンポチェにその時必要とされる瞑想方法を読み上げてくれるよう要請しました」
法王は受者に対して、微細な意識である光明の心とその乗物である微細な風(ルン:生命エネルギー)が完全に浄化された時、それらは仏陀の意識と風(ルン)に変容する、と述べられた。そして儀軌次第のテキストは以下の力強い帰依と菩提心生起の偈から始まると伝えられた。
そして法王は、文殊独尊の許可灌頂の儀式を進めながら、論証的で、明確で、素早く広大で、創造的な智慧を増大させるために弟子たちに必要とされる観想方法を示された。そして次の許可灌頂の準備の儀式を終えられると、文殊の身マンダラ(お身体のマンダラ)の許可灌頂を授与され、それに続いて、文殊の秘密成就の灌頂を授与された。今日の灌頂伝授会を締めくくるにあたり、法王はこの一連の受法によって生じる約束事と誓いについての義務を受者たちに教示されたが、最も大切なのは、殊勝なる菩提心と空性について瞑想することであると付け加えられた。
法王は、翌日も文殊を巡る一連の法の灌頂授与を続けられる予定であったが、お身体の具合がすぐれず、明後日に延期された。