インド、ビハール州ブッダガヤ
昨日ブッダガヤに到着されたダライ・ラマ法王は、ガンデン・ペルゲ・リン(ナムギャル僧院)で伝統的な歓迎を受けられた。今朝、法王は一日の初めに徒歩でマハーボーディ寺院に参拝されることを決められ、道中で列をなして待つ友人や地元の人々に挨拶をされながら早足で寺院に向かわれた。
寺院の入り口では、ブッダガヤ寺院運営委員会(Bodhgaya Temple Management Committee Secretary:BTMC)の秘書官ナンゼー・ドルジェ氏、マガド地区長官テンジン・ニマ・ビンドイェシュワリ氏、警察庁警視正ラジブ・ミシュラ氏、そして地区行政長官アビシェク・シン氏が法王を出迎え、法王に付き添って寺院の中へ案内した。法王は敷地内に入られると、背後にマハーボーディ寺院がそびえ、菩提樹の下にある釈尊が悟りを開かれた金剛座に礼拝された。法王が階段を下りられると、カギュ派大祈願祭(カギュ・モンラム)に参加している僧侶、尼僧、在家信者たちが法王のお姿を一目拝見しようと周りに集まった。
法王は寺院境内にある巡礼路を右繞され、ナーガールジュナ(龍樹)が象から菩提樹を守るために設けられたことで広く知られている、石垣の周りに集まった人々に微笑まれ、手を振られた。マハーボーディ寺院の大塔の入り口に到着された法王は、立ち止まって礼拝された。大塔に入られた法王は、有名な釈迦牟尼仏の像の前でひざまずかれ、灯明を供養された。
ブッダガヤ寺院運営委員会に所属するインド人の僧侶たちが初めにパーリ語で『吉祥経』を唱えた。続いて法王は、大塔の僧院長、ナムギャル僧院僧院長のタムトク・リンポチェ、そしてガワン・トプギャル師と共に『釈迦仏讃』、『般若心経』、ジェ・ツォンカパの『縁起讃』、『真実を語る太鼓として知られる釈尊への請願』、『ナーランダー僧院の17人の成就者たちへの礼讃偈』、『教法興隆祈願文』を唱えられ、最後に廻向偈を唱えられた。
ブッダガヤ寺院運営委員会のメンバーは、釈尊が描かれたカレンダーを法王に贈呈した。法王は感謝と共にカレンダーを受け取られ、釈尊は、仏教の教えを最初に説かれただけでなく、科学者であり偉大な思想家でもあったという法王のお考えを委員会のメンバーに伝えられた。法王は、釈尊が弟子たちに与えられたアドバイスに特に心を打たれたことを述べられて、次のお言葉を引用された。
「比丘たちよ、私の言葉を鵜呑みにしてはならない。金細工師が金を焼いて、切って、こすって純金かどうかを調べるように、あなた方は私の教えをよく調べ、分析しなければならない」
寺院を出られる法王に、報道記者たちが殺到して質問をした。法王は、釈尊が説かれた教えとは、非暴力(アヒンサー)の実践を守り、慈悲(カルーナ)をその実践の動機とし、縁起の見解に基づいて現実を捉えるということである、と簡潔にまとめられた。
法王は大塔を右繞し終えると、門に続く階段を上られ、ガンデン・ペルゲリンに車で戻られた。この僧院はラダックの僧侶ガワン・サムテン師により1938年に建設されたが、サムテン師がチベットに戻る際に、僧院をチベット政府に寄贈した。その後1951年にダルド・リンポチェが僧院長に任命され、リンポチェの監督のもと1952年に新しい僧院が建設された時、その僧院は法王によってガンデン・ペルゲリンと命名された。1965年、法王がガンデン座主として任命されると、リン・リンポチェも僧院長として任命された。2002年、僧院はナムギャル僧院に統合され、8人から9人の僧侶により一年を通して管理されている。