インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州 ダラムサラ
(テンジン・モンラム 記 / Phayul.com)
本日、ダラムサラのツクラカンで4日間にわたって行なわれてきた法話会が最終日を迎えた。ダライ・ラマ法王は、ナーガールジュナ(龍樹)の『宝行王正論』(uma rinchen trengwa)の法話を終えられると、仏陀の慈悲の心の顕現である観音菩薩の灌頂を参加者に授けられた。
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4日間にわたる法話会の最終日、観音菩薩の灌頂を授けられるダライ・ラマ法王。2016年9月1日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・プンツォク、法王庁)
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「灌頂を授かる際は、利己的でない正しい動機を持つことが大切です。長生きできますように、健康でいられますように、悩みを解消できますように、といった個人的な目的を果たすために灌頂を授かるのではありません。また、来世も人間に生まれることができますように、解脱に至ることができますように、という願いの成就を目的として授かることも間違った動機です」と法王は述べられた。
そして、「一切有情を利益するために悟りに至ることができますように」という正しい動機を持って灌頂に臨まなければならないことを諭された。
法王は、殺生をしない、盗みをしない、邪淫をしない、ひどい嘘をつかない、飲酒をしない、という五つの戒律から成る在家信者戒を授けられる中で、これら五つをすべて守ることができるとよいが、自分が守れる戒だけを選んで授かることもできる、と述べられた。
そして、「たとえ在家信者の戒律で禁じられていなくても、泥棒をしたり、人を殺せば刑務所行きですね」と言って笑われると、「これらの戒律は、悟りの境地に達するための階梯であると同時に、罪を犯すことから遠ざけてもくれるものです」と述べられた。
法王は、「私は今年81歳を迎えましたが、振り返ってみると、昨今の問題の多くが、他者を打ち負かして勝利を得たいという態度が原因であったことがわかります」と述べられて、宗教や神仏、来世の話に関わらず、利己的な態度さえなければ、世界はもっと平和になっていたはずであることを強調された。
法話会の終わりに、「私の務めは皆さんに仏陀の教えを伝授することであり、皆さんの務めはこれを勉強し、実践することです」と法王は述べられた。そして、「私の務めはこれで終わりましたが、皆さんの務めはこれから始まります」と楽しそうに笑って受者を励まされた。