2016年8月20日 - 21日
インド、ジャンムー・カシミール州ラダック地方 レー
8月20日、法王は、シャーンティデーヴァ(寂天)の『入菩薩行論』の続きを説かれ、次のように述べられた。
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法話会で、笑顔でお話をされるダライ・ラマ法王。2016年8月20日、インド、ジャンムー・カシミール州ラダック地方(撮影:テンジン・チュンジョル、法王庁)
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「利他の心によって他者を助ければ助けるほど、自分を益することになります。利他の結果として生じた心の平和は、私たちの寿命を長らえるのに役立ち、ひいては人類全体の寿命を長らえることにもなります」
法王は、長寿の祈願をする際は、仏法を実践し、菩提心を培い、仏陀の境地に至るために長生きすることができますように、という正しい動機を持って祈願することが大切であるとして、次のように述べられた。
「私たちは、幼い頃から煩悩(悪しき感情)の影響を受けています。私たち人間には、たとえば虫を殺すというような、他の存在を害してしまう傾向がありますが、その原因は、過去の業(カルマ)と悪しき態度がもたらした習慣にあります」
「私たちは現実のありようを知らないということにもともと慣れていて、自分優先の態度を身につけています。しかし、今、私たちは仏陀の教えに出会い、無知という眠りから目覚めようとしているのですから、菩提心を生起させることができるよう真剣に取り組まねばなりません。菩提心を起こすことは、即時的には心の平和をもたらし、その結果、健康を増進させることができます。そして長期的には、来世においてより恵まれた生を得ることを確実のものとしてくれます」
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ダライ・ラマ法王に捧げるご長寿祈願の儀式で、供物を捧げるために並ぶ地元ラダック地方の代表者たち。2016年8月20日、インド、ジャンムー・カシミール州ラダック地方(撮影:テンジン・チュンジョル、法王庁) |
法王が法話を終えられると、ガンデン座主リゾン・リンポチェとラダック仏教協会のツェワン・ティンレー会長の導きのもと、数百人の僧侶と聴衆が法王のご長寿とご健康を祈願するための儀式を法王に捧げた。続いて、ラダックの人々を代表して、ツェワン・ティンレー会長が法王に謝辞を述べ、法王がラダックを訪問されて仏法の雨をラダックの人々に降り注がれたことへの感謝を捧げた。最後にティンレー会長は、法王がこれからも幾度もラダックを訪問してくださるようお願いした。
そこで法王は、次のように述べられた。
「皆さんが堅固な信心と帰依の心をもって祈願してくださったことにより、私は長寿を全うして、一切有情の幸せのために努めることができるでしょう」
8月21日、4日間にわたる法話会が最終日を迎え、法王は、聖観自在菩薩の灌頂を受者たちに授けられた。灌頂に先立ち、法王は、灌頂を授かる者はできるだけ菜食主義を取り入れ、飲酒を控えるよう励まされた。そして、だれもがもっと思いやり深く、誠実に、私たち一人ひとりが人類というひとつの家族に属する兄弟姉妹であるということを理解してほしい、と述べられた。