インド、ジャンムー・カシミール州ラダック地方 レー
本日ダライ・ラマ法王は、ラダックとザンスカールの地方自治政府であるラダック自治山間開発会議(LAHDC)が主催した昼食会に出席された。
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昼食会に出席するため、森林公園に到着されたダライ・ラマ法王を歓迎してラダックの伝統的な太鼓と笛を演奏する人々。2016年8月14日、インド、ジャンムー・カシミール州ラダック地方レー(撮影:テンジン・チュンジョル、法王庁) |
法王は、森林公園内のピクニック場でラダック自治山間開発会議の最高責任者ソナム・ダワ氏の出迎えを受けられ、タルチョ(祈りの旗)で飾られた鉄橋を通って、歓迎の人々とともにインダス川を渡られた。法王が、ラダックの伝統的な太鼓や笛を演奏する奏者たちに挨拶をされると、奏者たちも法王を歓迎して丁重に返礼をした。
法王は古くからの友人であるモルップ・ナムギャル氏と抱擁を交わして挨拶をされた。昼食会が開会の運びとなり、ナムギャル氏は法王への礼讃偈を唱えた。最高責任者のソナム・ダワ氏は短い挨拶の中で、ガンデン僧院座主リゾン・リンポチェ、バクラ・リンポチェ、地方議員トゥプテン・ツェワン氏、インド立法議会議員リクジン・ジョラ氏、レー地区長官など政府高官たちを簡単に紹介した。また、ラダック地方の教育や政治的な発展状況についても触れ、法王のアドバイスを求めた。
ナムギャル氏は数々の文化的な催しを紹介しながら、7世紀のチベット王ソンツェン・ガンポの時代から継承されるチベットとラダックの歴史的な関係についても触れた。さらに、法王がラダックを定期的に訪問されることが当地の発展に大きく影響していると述べ、法王に感謝の意を表した。最後に、法王を称えてトゥルトク村のムハンマド・カーンのラダック語の詩を引用し、「あなたがた仏教徒は、法王は仏教徒だけのものだと言うことはできない。法王は、我々イスラム教徒のためにもおられるのだから」と述べた。
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森林公園で開催された昼食会でお話をされるダライ・ラマ法王。2016年8月14日、インド、ジャンムー・カシミール州ラダック地方レー(撮影:テンジン・チュンジョル、法王庁)
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法王は出席者たちに、兄弟姉妹の皆さん、と呼びかけられ、今日はスピーチをするのではなく質問に答えたい、と述べられた。安楽死についての質問に対して、法王は、堕胎の問題と同様に一般論を述べるのは難しく、それぞれの場合にかかわる要因すべてを考慮する必要があると述べられた。水質汚染についての質問に対しては、環境や天然資源を保護し、水源を守る対策をとることが大事であると述べられた。また、ご友人のチプコ運動(注)の提唱者スンダルラール・バフグナ氏と交わされた約束に従い、ラダックからアルナーチャル・プラデーシュ州に至るインドのヒマラヤ地域で起きている環境問題について、機会があればできる限り話すことにしている、と述べられた。
参加者が昼食会を楽しんだ後、レー地方長官は、おいしい料理に対して調理スタッフに謝意を表し、主催者のラダック自治山間開発会議には昼食会の開催に対して感謝の意を伝えた。その後、法王は公邸に戻られた。
注:チプコ運動とは、1973年にインド北部の村で起きた女性中心の森林保護運動のことで、マハトマ・ガンジーの非暴力、不服従運動の影響を受けている。チプコとはヒンディー語で「抱きつく」という意味