アメリカ、ミネソタ州 ロチェスター
【ブレット・ベーゼ / ポストブレティン(Post-Bulletin)】
ダライ・ラマ法王は先週末、3,000名の聴衆を前にミネアポリスで講演を行なわれた。また3月9日には、ウィスコンシン州マディソン市でも同様の講演会が予定されている。
公式に発表がなされているのはこの二つの講演会のみだが、2月29日(月)にもセント・メアリーズ病院のチャペルで、メイヨークリニックの職員に向けた講演会が開催される。
メイヨークリニックは、この講演会への参加を関係者のみとし、メイヨークリニック院長で最高経営責任者のジョン・H・ノーズワーシー氏によるダライ・ラマ法王の紹介と、法王と選抜された職員による「医療における思いやり」についての対話が行なわれる、と告知している。司会進行は、テレビおよびラジオ司会者のキャシー・ヴュルツァー氏が務める。
コンベンションセンターでお話をされるダライ・ラマ法王。2016年2月21日、アメリカ、ミネソタ州ミネアポリス(撮影:ジェレミー・ラッセル、法王庁) |
講演は90分間の予定だったが、法王はその2倍の3時間にわたってお話をされ、多くの聴衆を驚かせられた。聴衆は、法王が英語とチベット語で語られた「教育と思いやりが大切である」というメッセージを大切に胸におさめた。
とはいえ、多くの人々にとっては法王の健康状態が一番の関心事であったが、それも今回の講演によって、良好であることが証明された。
アメリカ・ミネソタ州のチベット財団(Tibetan-American Foundation of Minnesota)のメディア・コーディネーターを務めるツェワン・チョクデン氏は、「今回治療を受けられたことで、だれもが法王の健康状態を心配したが、今日こうして元気溌溂としたお姿を拝見し、だれもがよろこびに沸き立っている」と語った。
多くの人々が心配した一方で、ダライ・ラマ法王はミネソタ州に到着されてから、さまざまなメディアに登場されている。
ソーシャル・メディアには、米国国会議員のティム・ワルツ氏が先週ダライ・ラマ法王と共に写した写真が何枚か掲載されている。二人はロチェスターで会見され、ワルツ氏の最近のチベット訪問について1時間にわたって話し合われた。ワルツ氏の事務所は、今回のチベット訪問は代表団として初めての正式訪問であったことを伝えている。
ワルツ氏は、「法王にお目にかかれることをいつも大変光栄に思っている。法王にお目にかかるたびに、周囲の人々に礼儀と思いやりをもって接することの大切さに気づかせていただいている」と語った。
またこれとは別に、ミネソタ州レッドウイング在住の州警察官ダン・ルイス氏が法王と共に写した写真も掲載されている。ダライ・ラマ法王の伝統的な法衣とルイス氏のつばの広い帽子との取り合わせが話題となり、多くのコメントが寄せられた。ルイス氏は、この2か月間にわたって法王を警護してきた大勢の州警察官のひとりでもある。
思いやりのある街づくりに尽力する市長、関係者たちとダライ・ラマ法王。2016年2月11日、ミネソタ州ロチェスター(撮影:テンジン・タクラ、法王庁) |
ダライ・ラマ法王は次のように語られている。
「現在、世界はじつに多くの問題に直面しており、最近の難民問題もそのひとつです。何がいけないのか、ということを私たちは考える必要があります。他の人の人生を尊重できていない、他の人の幸せを考えていない、つまり思いやりに欠けているように私には思えるのです。私が!僕が!と主張して、自分のことしか考えていないことが、現代の問題の原因なのだと思います」
北極星の州という愛称を持つミネソタ州には、およそ3,000人のチベット人が暮らしている。その数は米国でも2番目に多い。1950年代の中国政府によるチベット侵攻以後、多くのチベット人が祖国から逃れてきたのである。
ダライ・ラマ法王は、ほぼ60年間にわたりインドで亡命生活を送られている。現ダライ・ラマであるダライ・ラマ14世テンジン・ギャツォは、2歳の時に13世の転生者として認定されたが、聖職者としてチベットに仕える最後のダライ・ラマとなる可能性もある。
協力:AP通信社