インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州 ダラムサラ
本年度のノーベル平和賞の受賞者が発表されると、ダライ・ラマ法王はすぐに二人の受賞者に次のような書簡を送られた。
「ノーベル平和賞を受賞されたお二人に、心からお祝いを申し上げます。お二人がそれぞれ異なる環境で、子どもたちを守るために、また子どもたちの教育を受ける権利を守るためになされてきたことがこのような形で認められたことは、私にとっても大きなよろこびです。」
そして、パキスタンのマララ・ユスフザイさんには次にように書かれた。
「あなたは大変お若いながら、女子の教育を受ける権利を守るためにはかり知れない勇気を示されました。あなたの意見に対して暴力を用いて反対する人たちによる襲撃を受けた時も、あなたは大怪我から回復され、再び強靭な精神力を見せてくださいました。そのように絶えず、屈することなく、教育という基本的な権利を呼びかけてこられたことは、賞賛に値する以外の何ものでもありません。」
また、児童労働根絶に取り組むインドのカイラシュ・サティヤルティさんには、次のように書かれた。
「マハトマ・ガンジーはインドの父であり、私個人にとっても心の師ですが、非暴力という力で社会を変えるという平和的な献身は、世界中の人びとの励みとなってきました。私は、ガンジーの弟子であるあなたがこのノーベル平和賞を受賞されたことは、ガンジーからの感謝のしるしでもあると受け止めています。」
また、法王は二人に向けて、ノーベル平和賞を男性と女性、そしてインド人とパキスタン人に同時に授与するという決定は、私たちが人類という兄弟姉妹として互いを見つめることによってはじめて、より平和で幸せな世界を築くことができるということを強調するものである、と書かれた。さらに法王は、二人が支援しているような子どもたちは社会において最も罪のない弱者であると同時に未来を築く種であり、その未来は、子どもたちが完全に等しく教育を受けられるように私たちが取り組むことによってはじめて確保される、と書かれた。
そして法王は二人に向けて、最後に次のように綴られた。
「お二人へのノーベル平和賞の授与は、『私たちが私たち自身を向上させ、よりよい世界を築いていこうとするならば、根本的に大切なのは教育である』ということに念を押すものとなりました。今回の受賞は、世界中の子どもたち、少年少女たちへの激励です。」