ドイツ、ハンブルク
「様々な地域から集まってこられたすべての皆さん、中国の兄弟姉妹たちを歓迎致します」
インドへの帰路につく直前の今日、ダライ・ラマ法王は「共通点を見つける」というテーマで開催された中国 - チベット人会議で演説をされた。法王は参加者に歓迎の挨拶をされると、こう続けられた。
中国 - チベット人会議で集まった参加者に挨拶をされるダライ・ラマ法王。ドイツ、ハンブルグ、2014年8月27日(撮影:ジェレミー・ラッセル、法王庁) |
中国 - チベット人会議で演説をされるダライ・ラマ法王。ドイツ・ハンブルク、2014年8月27日(撮影:ジェレミー・ラッセル、法王庁) |
法王は、サムドゥン・リンポチェ内閣主席大臣の最初の任期にさかのぼって約15年間ほど、中央チベット政府は亡命政府という呼称を使っておらず、政治的指導者を首相と呼ぶこともなかったと述べられた。中国政府はチベット亡命政府を認めない、大チベット(greater Tibet)と呼ぶところのものを認めないと語っているが、これは彼らの造語である。また法王は、ウイグル人指導者ラビア・カーディル氏と面会したことを非難されたと語られた。カーディル氏に非暴力的な手段を適用するメリットについて説明し、前向きな働きかけであったにもかかわらず、である。
中国訪問の可能性については、このように答えられた。
「私はいつも五台山を訪れたいと思っています。1954年にもそう思っていました。中国との5回目の協議でその話が出たのですが、拒否されてしまいました」
参加者から、中国における宗教グループに対する抑圧の苦境をどのように解決すればよいかとの質問があった。西欧政府は経済的理由から中国に圧力をかけることはしたがらない。法王は、米国政府が中国に明白に言及したチベットにおける人権問題に関するアニュアルレポートを発行していると仰られた。また、ドイツのアンゲラ・メルケル首相が昨今、中国の人権問題に関して公に言及していることについて感謝していると述べられた。
「数年前、中国が米国に最恵国待遇を与えられるという話があったころ、私はワシントンにいてそれについて質問を受けました。世界で最も人口の多い国として中国はそれを受けるに値すると答えました。同様に私は中国のオリンピック開催誘致も支持しました。中国が欠いているのは民主主義であり道徳的責任感です。そしてそれは中国が世界に向けて本当に開いて行こうとするときに必要なのです」
そして法王は、10月に行われる中国共産党全国代表大会では司法に関して討議されるようだ、と付け加えられた。
「何故法律家の方々は司法制度について調査したり記事にしたりしないのでしょうか。スローガンを掲げるのはいいですが、静かで着実な行動をとることはより効果的かもしれません」
中国 - チベット間の意見交換は最近拡大しているのか縮小しているのかという質問に対して、法王は、機会は増加しており、より多くの交流がなされているとお答えになられた。多くの中国人が法王の講義を聞きに来るようになり、2、3年前からは中国本土からきたグループに教えを説かれるようになった。習近平氏が仏教は中国文化を復興する重要な役割があると発言したことに触れ、いま中国には3億から4億の仏教徒がいると言われていると語られた。
インドへの帰路につかれるため、法王が部屋を退出されようとすると、多くの人たちが法王に挨拶しようと駆け寄ってきた。法王はそこから直接ハンブルク空港へと車で向かわれ、デリーへと向かわれた。