千葉 / 東京
今朝ダライ・ラマ法王はインドから民間機で成田空港に到着された。この季節にはよくあるどんよりとした天候であったが、それとは対象的に、法王の到着を待ちわびていた人々の温かい出迎えを受けられた。到着後、ホテルへの移動前に法王は記者らの質問に短くお答えになりながら、今まさに「自己」と「他者」という観念を乗り越えて人類はひとつであるこという認識を持つことが求められていると強く語られた。
成田空港で支援者に歓迎されるダライ・ラマ法王。2013年11月15日、千葉(撮影:ジェレミー・ラッセル、法王庁) |
午後から法王は、日本テレビ「News Zero」のキャスター・村尾信尚氏のインタビューに応じられた。まず今回の訪日の目的を尋ねられ、法王は、一般市民に会い、幸福は内在するものだという考えを伝えるためだと答えられた。仏教徒はすべての生命あるものの幸福を常に願い、そのように行動することが正しい道である、変化はただ祈るだけではなく行動によってもたらされるものだ、フィリピンで起こった地震などの自然災害は今後も増えると思われるが、どんな状況でも私たちが一つの人類、みな家族の一員であることを忘れず、仲間をどうすれば救うことができるのかを考えなければならない、法王はそう語られた。
村尾氏は現在日本ではいじめが深刻な問題になっていることを説明し、なぜ人が他人をいじめようという気持ちになるのか尋ねた。法王は、自己のことしか考えず、他人に関心を持たない、他人の幸福への関心というものが欠落しているからだと答えられ、いじめにより自殺を望む子供たちをどうすれば止めることができるかという質問には、次のように述べられた。
「これは日本だけではなく、広く見られる現象です。現状の教育システムは物質的な価値や目標に価値を置くもので、内面的な価値をあまり重視していません。必ずしも宗教的要素を持つ必要はありませんが、これをひとつの理由として、私の友人や科学者、教育者の中には、私たちの教育システムにさらに深い倫理観を取り入れる方法を模索している者がいます。
いじめの被害にあう子供たちはどうすればよいか、私にはわかりません。この問題では、親たちや教師たちにある程度の責任があると考えます。親たちは子供たちに愛情を示す必要があり、そのために時間を作ることが必要です。教師たちは知識を与えるだけで満足すべきではありません。より深い価値観を示し、子供たちの長期的な将来を考える必要があります。もし家庭や学校がより強い愛情や思いやりを与えれば、子供たちの成長過程が変わるでしょう」
いじめによる自殺問題に関連し、村尾氏は2009年からチベットで発生している100件を超える焼身自殺についての法王の見解を求めた。
「これらの出来事は非常に悲しむべきものですが、自殺者たちの理由は酒に酔っていたからでも家庭に問題があったからでもなく、自分たちが恐ろしい状況下に生きていると考えたからです。自らの命を捨ててもよいと思う人は、他人を傷つけることもできるものです。しかし、彼らはそうすることを避けたのです。
日本テレビ「News Zero」のキャスター・村尾信尚氏にインタビューされるダライ・ラマ法王。2013年11月18日、東京(撮影:ジェレミー・ラッセル、法王庁) |