3人の科学者との対話
日本ご滞在5日目の16日、ダライ・ラマ法王は、3日間にわたる来日法話の最終日に、認知心理学、脳神経科学、物理学を専門とする3人の科学者を迎え「仏教科学と現代科学」をテーマに対談された。(撮影:テンジン・ジグメ)
3人は、京都大学こころの未来研究センターの吉川左紀子教授(認知心理学)、国立研究開発法人理化学研究所生命機能科学研究センターの入來篤史チームリーダー(脳神経科学)、台湾国立清華大学物理系の朱創新教授(物理学)。視線や表情が作用する心理の動きや、ものやかたちを認識する脳神経のはたらき、空間と時間の次元から宇宙の姿をとらえるホログラフィック原理といったそれぞれの知見を紹介し、世界のなりたちを相互依存としてとらえ、心や感情のありかたを追究する仏教哲学との共通性について話し合った。(撮影:テンジン・ジグメ)
プログラムがすべて終了し、主催関係者が謝辞を述べた後に、法王はおもむろに会場に語り掛けられた。「あなたはあなた自身の教師です。仏陀であろうと、あなたの未来を決めることはできません。問題が生じたとき、解決策があるのならば、解決に努めてください。もし解決策がないのならば、その問題にとらわれて思い悩むことはやめましょう。楽観的な気持ちで未来を築いてください。そして、強い決意を持って進んでください」。言葉の一つ一つに強く力を込めて話し終えられた法王は、沸き起こった満場の拍手のなか、会場を後にされた。(撮影:テンジン・ジグメ)
人々との触れ合い
ブログラム前後のわずかな時間にも、ダライ・ラマ法王のもとには多くの人々が訪れた。チベットの仏教壁画を原寸大で記録した限定発行の写真集「Murals of Tibet」(Thomas C. Laird, TASCHEN)に署名され、購入した萩生寺(愛媛県新居浜市)の住職にサインの内容を説明される法王。写真集は広げると1.4メートルにもなる大型希少本で、チベットの仏教文化遺産の記録と継承のため、限定998部が制作された。(撮影:テンジン・ジグメ)
台湾からは総勢500人を超える人々がグループ謁見。人々が待ち受ける部屋に法王が入られると、歓声が沸き起こり、祝福を受けようと数多くの手が差し伸ばされた。(撮影:テンジン・ジグメ)
たくさんの品々は、数珠、経典、護身符など、ダライ・ラマ法王の御加持を受けようと信徒が持ってきたもの。法王は「ふーっ」と息を吹きかけ加持された。(撮影:テンジン・ジグメ)