東京(AFP)
1950年にチベットに侵攻した中国の武力弾圧から逃れ、ダライ・ラマ法王は1959年以来インドで亡命生活を送られている。
中国という枠組みの中で、ヒマラヤ圏の仏教徒居住地域のために高度な自治を模索されている法王に対し、北京の中国指導部は法王を“分裂主義者”と非難して、法王の海外訪問を妨害している。
ノーベル平和賞受賞者である法王は、法話と講演、仏教の儀式に参加されるために今回で12回目となる日本への訪問をはたされた。二週間の旅程の殆どは、世界で初めて原爆の被害を受けた広島の西部で過ごされた。
東京でも、チベットの精神的指導者である法王は、核兵器廃絶の活動において日本は大きな役割を担っているとして、次のように語られた。
「60億の人類の中で、私は日本が核兵器の廃絶をリードする真正な立場にある国だと思っています。ですから、日本の皆さんには、この分野でより積極的な役割を果たしていただきたいと望んでいます。」
日本は世界で唯一、原子爆弾が投下された国である。アメリカの核攻撃は、第二次世界大戦の終わりに広島と長崎南部の都市を壊滅させた。原爆の投下により21万人以上の人々が即死あるいは重度の火傷により亡くなった。
先月の北朝鮮による初の核実験では、日本は警戒態勢を取るとともに、長い間タブーとなっていた核という選択肢について討論するため、一部の政治指導者が東京に呼び集められた。
しかし、ダライ・ラマ法王は世界の指導者に核兵器開発競争の終息を求め、また、それは単に初めの一歩に過ぎないとして、核兵器や化学兵器の廃絶に向けた努力をしなければならないと呼びかけられた。
法王は、頻繁に来日されているにもかかわらず、いかなる政治的活動も回避するという条件で日本への訪問を許可されているため、日本の政治家たちはダライ・ラマ法王に謁見することを敬遠している。過去には唯一、鈴木善幸元首相が1980年にダライ・ラマ法王と会見したのみである。
しかし、法王は東京の両国国技館において、女優の木内みどり氏の司会によって行われた一般講演で、映画スターやテレビタレントなど日本の著名人をはじめ、沢山の聴衆から情熱的な歓迎を受けられた。