ダライ・ラマ法王は、「広島国際平和会議2006」二日目の今日、世界で最初の核兵器の被爆地広島で、核兵器の廃絶を呼びかけられた。
法王は、「近年、核保有国は増加しています。しかし、それでも私は希望を捨てていません」とした上で、次のように語られた。
「広島の歴史は今もなお、核兵器の脅威に対して強い警鐘を鳴らしています。」
「ここ広島が世界に向けて発信しているのは、核兵器は恐ろしいというメッセージです。」
「最初に広島、そして長崎にと、二つの原子爆弾が落とされました。この悲劇があってから、この恐ろしい武器を実際に使おうとした人はいないと思います。」
「広島と長崎は、こうした類いの武器は遅かれ早かれこの世から廃絶しなければならないという強いメッセージを、何としても発信していかねばなりません。」
第二次世界大戦末期、米国の原子爆弾によって広島と長崎は壊滅した。21万人を超える人々が即死、あるいは悲惨きわまる火傷の末に亡くなった。
近年、核兵器の所有国は増加傾向にあり、先月には北朝鮮が初の核実験を行なったと発表し、イランにおいても核兵器の所有が強く疑われている。
ダライ・ラマ法王が50年間にわたって亡命生活を送っておられるインド、そしてその隣国のパキスタンも、1998年に核保有国となった。
法王は、グローバリゼーションとは、本来、人間の未来を考えるときが来たことを教えてくれる目覚まし時計のはずである、として次のように述べられた。
「今日、国境はさほど重要ではありません。世界全体でひとつの個体を構成している、これが新たな現実なのです。」
「私は常々、私たち人間には知性があるがゆえに、最悪の問題児である、と言っています。とはいえ、この知性があるからこそ、自分のことだけでなく世界全体を大切にすることができるのです。」
「これを怠れば、人口の増加とともに貧富の差が拡大し、深刻な状況が悪化して、あらゆる危険や暴力がはびこることになりかねません。」
「確固としたヴィジョンを持つことで、よい結果が実現するのです。」
ダライ・ラマ法王の来日は、今回で12回目となる。1950年にチベットに侵攻した中国は、海外諸国が法王の訪問を受け入れることに対して、常に抗議をしている。