広島(ツェリン・ツォモ記)
法王は本日午後、広島市のアステルプラザ・グランドホールで開催された「広島国際平和会議2006」において、「思いやりと平和は、人類の存続にとって不可欠のものです」と述べられた。
二日間にわたる会議初日の今日は、3人のノーベル平和賞受賞者が「人の未来を考えるーもっとやさしく、人間らしく」をテーマに基調講演を行なった。ダライ・ラマ法王は最初に講演を行なわれ、現在私達が直面している問題の「普遍的責任」について語られた。その中で法王は、「世界は互いに相互依存の関係にあります。経済協力や環境問題といった世界規模の問題を考えるとき、国境という概念は重要ではありません。私たちの生命というものは、人間がつくった境界よりもはるかに尊いものなのです」と述べられた。
法王はまた、「思いやりや平和といった世俗の倫理観は、宗教や民族を越えたすべての人の幸せに不可欠なものです」と述べられた。 法王は、「核兵器の致命的な脅威を体験した広島が世界に向けて平和のメッセージを発信することは大変重要である」とした上で、「人間の知識や科学技術は、よい使い方をしなければ、その発展によって甚大な被害がもたらされることもあるのです」と、会場を埋めた約1200人の聴衆に注意を呼びかけられた。 同じくノーベル平和賞受賞者として講演したデズモンド・ツツ大主教は、法王を「人類の宝」と称し、「ダライ・ラマ法王は50年以上にわたって亡命生活を送っておられ、祖国を離れて失うという苦しみを経験しておられるが、その人生において怒りと憎しみに打ち負かされたことは一度もない」と賛辞を送った。 同じく講演を行なったベティ・ウイリアムズ氏は、北アイルランドの和平のために尽力し、1976年にノーベル平和賞を受賞している。今回の講演では、子ども達への思いやりについて語った。 1日の夜には、広島市内の世界平和記念聖堂において「平和の祈り」の集いが開かれ、人種や宗教の枠を越えて集った多くの人々が、デズモンド・ツツ大主教、ベティ・ウイリアムズ氏、チベット人僧侶の一団と共に祈りを捧げた。 3人のノーベル平和賞受賞者の隣で会議の進行役を務めたのは、筑波大学名誉教授で分子生物学者の村上和雄氏である。平和会議は明日(木)の夕方まで続く。 |