ボンディラで法話会と長寿の灌頂

2017年4月5日

インド、アルナーチャル・プラデーシュ州ボンディラ

法王は今朝、はるか丘の先にあるボンディラのブッダパークへ車で向かわれた。到着すると、推定1万5千人の群衆に向けて挨拶をされ、法座に着かれた。


ブッダパークに到着され、1万5千人の聴衆に向けて挨拶をされるダライ・ラマ法王。2017年4月5日、インド、アルナーチャル・プラデーシュ州ボンディラ(撮影:テンジン・チュンジョル / 法王庁)
「私たちは今日、仏陀の教えを勉強するために集まりました。かつて人間は、太陽や月に守護されていると信じて祈りを捧げていました。後にさまざまな宗教が生まれ、哲学的見解が組み込まれていきました。これら伝統宗教のほぼすべてに共通していることは、よりよい人間になるための手助けをすることが目的であり、愛や思いやり、寛容や許しを説くことによって、長きにわたり人々を利益してきたことです」

「私は仏教徒ですので仏教哲学を勉強し、仏教を心から素晴らしいと思っていますが、仏教が一番すぐれた宗教であると言うことはできません。なぜなら、一番役立つ宗教というものは、人それぞれに異なっているからです。これは、この薬ひとつですべての病を治せる、と言うことのできる薬がないのと同じことです。あるいは、からだの栄養となるはずの食べ物であるにもかかわらず、これが一番、あれが一番、と言うのがナンセンスであるのと同じことです。仏陀もまた、教えを聴く人々の性質や時と場所に応じて異なった説明をされたのです」

法王は、仏陀が無我の教えを説かれたときのことに触れて、仏陀が当時、無我の教えをすぐに受け入れられる人はきわめて少ないだろうが、かつて苦行をともにした5人の仲間たちなら受け入れられるかもしれない、と考えておられたことを説明された。はたして仏陀は、教えを聴きに来た5人の仲間たちに、「四つの聖なる真理」(四聖諦)、すなわち、「苦しみが存在するという真理」(苦諦)、「苦しみには因が存在するという真理」(集諦)、「苦しみの止滅が存在するという真理」(滅諦)、「苦しみの止滅に至る修行道が存在するという真理」(道諦)を説かれたのである。


ダライ・ラマ法王のお話に聴き入る聴衆。2017年4月5日、インド、アルナーチャル・プラデーシュ州ボンディラ(撮影:テンジン・チュンジョル / 法王庁)
たとえば「苦しみが存在するという真理」(苦諦)は、無常、苦、空、無我という四つの特徴について考察することによって理解することができる。「苦しみには因が存在するという真理」(集諦)を理解するための特徴は、原因、起源、生起、条件である。「苦しみの止滅が存在するという真理」(滅諦)は、消滅、寂静、吉相、離脱についての考察によって理解することができ、「苦しみの止滅に至る修行道が存在するという真理」(道諦)を理解するための鍵は、道、如理、達成、解放についての考察である。

法王は、「四つの聖なる真理」(四聖諦)は「因果の法」に基づく教えであること、そして苦しみには因があるが、苦しみの止滅に至る修行道もまた存在することを説かれると、「苦しみが存在するという真理」(苦諦)と「苦しみには因が存在するという真理」(集諦)はいかにして苦しみが生じるかを示している一方で、「苦しみの止滅が存在するという真理」(滅諦)と「苦しみの止滅に至る修行道が存在するという真理」(道諦)は苦しみを克服し、輪廻から解脱する方法を示していることを強調された。

さらに法王は、「苦しみを認識するべきである。苦しみの因を滅するべきである。苦しみの止滅を実現するべきである。苦しみの止滅に至る修行道を実践するべきである」という仏陀の言葉を引用されると、次のように述べられた。

「苦しみの止滅への道を正しく理解するには、無明が存在することを認識し、それを克服する方法、すなわち、空を理解しなければなりません。第三法輪では、第二法輪で説かれたことに関する詳しい解釈がされており、すべての現象を、遍計所執性へんげしょしゅうしょう依他起性えたきしょう円成実性えんじょうじっしょう、という三つのカテゴリーに分類して説明しています。遍計所執性とは、実体があるかのように妄想された現象のありよう、依他起性とは、他のものに依存することによって生起するという現象のありよう、円成実性とは完全なる現象として達成された空(真如)のありようのことである。

長寿の灌頂を授けるなかで、法王は、参加者たちを菩提心生起の儀式に導いていかれた。そして最後に、僧侶であれ、在家信徒であれ、ここにいる全員ができるかぎり仏教を勉強するよう強く勧められた。


高校の講堂で一般講演を行われるダライ・ラマ法王。2017年4月5日、インド、アルナーチャル・プラデーシュ州ボンディラ(撮影:テンジン・チュンジョル / 法王庁)
昼食後、法王は高校の講堂に移動され、およそ300名のボンディラの人々に向けてお話をされた。

質疑応答のなかで、「宗教が問題を引き起こす可能性を持つ場合、信心深くあることが本当に大切なのでしょうか?」という質問が挙がると、法王は、「先日ローマ法王が、愚かなキリスト教徒であるよりも、よい人間であることのほうが大切である、と述べられましたが、私も同意見です。愚かな仏教徒であるよりも、よい人間であることが大切です」と述べられた。また、穏やかな死を迎えるためのアドバイスを求められると、法王は、「まず、死は人生の一部であるという現実を受け入れ、そして死ぬことを心配したり恐れたりしないことです」と助言された。

法王は明朝、落慶法要に出席され、午後に『心を訓練する八つの教え』の法話と千手観音の灌頂を授与される予定である。
 

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