ダラムサラで千手観音の灌頂

2017年3月14日

インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州 ダラムサラ

ダライ・ラマ法王は、ツクラカンの法座に着かれるとすぐに、千手観音の灌頂を授与するために阿闍梨に必要とされる前行の儀式を始められ、次のように述べられた。


ツクラカンで行われた法話会の二日目に、説法をされるダライ・ラマ法王。2017年3月14日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州 ダラムサラ(撮影:テンジン・チュンジョル / 法王庁)
「今日は千手千眼の観音菩薩の灌頂を授与します。すべての仏たちは観音菩薩を礼讃しています。観音菩薩は勝利者仏陀の慈悲のお心を体現した本尊だからです。『入中論』の中でチャンドラキールティが述べているように、慈悲の心は修行道において、始めにも、中ほどにも、最後にも非常に大切な要素となっています。諸仏や菩薩たちは、慈悲に根ざした心を基盤とするすぐれたお身体、お言葉、お心を持っておられます。諸仏は、まず始めに勇気ある慈悲の心を持つことを土台として、他者を救済するために悟りを求める心、つまり菩提心を起こされました。そして他者に奉仕することにより、自分自身の目的を果たすのです。なぜなら彼らには大いなる慈悲の心があり、他者の幸福こそが目的だからです。

「この世界には苦しみが溢れていますが、それを解決するにはお金や力だけでは十分ではありません。私たちに必要なのは慈悲の心と知性ですが、その知性さえも時として誤って用いられてしまうことがあります。真に他者の役にたつためには、その動機が慈悲の心に基づいていることが必要とされます」


ツクラカンでダライ・ラマ法王の法話に聴き入る人々。2017年3月14日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州 ダラムサラ(撮影:テンジン・チュンジョル / 法王庁)
「一切有情の不幸や苦しみに終わりをもたらすためには、縁起の見解を理解することが必要です。なぜならば、有情の不幸の源は無知にあるからです。すべての現象は縁起しており、他に依存して存在しているため、独立自存の実体のある現象は何一つとして存在していません。ジェ・ツォンカパの『修行道の三要素』には、縁起の理解と、独立自存の実体的存在はないという空の理解が、交互にではなく同時に現れることが深遠なる空の分析の完成であると説かれています。ジェ・ツォンカパ(本名ロブサン・ダクパ)は仏陀の教えによく精通したすぐれた比丘でした」

続いて法王は観音菩薩の灌頂の儀式に入られ、まず障害を除くことから始められた。儀軌の途中で、優婆塞(在家男性信者)と優婆夷(在家女性信者)の中で在家信者戒を授かりたいと望む人々に戒律を授けられ、それから参加者全員を熱望の菩提心生起(発願心)と菩薩戒の授与の儀式に導かれた。

法王は参加者たちに向かってよく学ぶよう諭され、中観の見解を学ぶための信頼できる主な論書は、ナーガールジュナの『中論』、アーリヤデーヴァの『四百論』、チャンドラキールティの『入中論』の三つであり、菩提心を育む方法を学ぶための最もすぐれた論書はシャーンティデーヴァの『入菩薩行論』であると述べられた。


ツクラカンで行われた千手観音の灌頂の儀式の中で、赤い目隠しをつける僧侶と尼僧たち。2017年3月14日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州 ダラムサラ(撮影:テンジン・チュンジョル / 法王庁)
最後にツクラカンの堂内にある法王の法座横に安置されている仏像を見渡され、それぞれの仏像について解説された。

「この素晴らしい釈迦牟尼像は、私たちが亡命してダラムサラに来てから建立されました。亡命前にチベットで争乱が始まってから、高名なニンマ派のラマであるジャムヤン・キェンツェ・チューキ・ロドゥ師がカムからラサに来られ、政府に対してジョカン寺に“グル・ナンシ・シルノン”(万物を征服した上師)として知られるパドマサンバヴァ(グル・リンポチェ)の仏像を安置するよう要請しました。様々な理由からチベット政府はそうせずに、代わりに“グル・ギャカルマ”(インドの上師)の像を置くことに決定しました。キェンツェ・リンポチェがこの決定を聞いたときに嘆息されて、『少なくともダライ・ラマ法王とその弟子の方々がインドにたどり着いたら置いて欲しい』と言われたそうです。そこで、当時の政府の間違いを反省して『グル・ナンシ・シルノン』の像をここに置くことにしました」

法王は亡命初期の頃に見た夢の中で、ソンツェン・ガンポと歴史的につながりがあるチベットの有名な観音菩薩の像について詳しく話された。その像は法王を手招きして、法王はその像を抱擁されたこと、そして『聖者弥勒の祈願文』の中にある以下の偈に触発されて、困難の中でも決して諦めないと奮起したことを思い出された。

  • 精進に不屈であることにより
  • 堅固で、朗らかに、怠ることなく
  • 心身は力に満ちて
  • 果てしなき精進波羅蜜を完成することができますように
 

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